MLBドラフトの仕組みを解説!全体1位って?契約金はどのぐらい?

      2017/05/25

毎年6月ごろになると、MLBでもドラフト会議(First year player draft)が行われます。全体1位・・などの選手は毎年話題になりますが、日本のドラフトとは仕組みが異なることもあり、どういうことなの?と思う方もいるかもしれません。ここでは、MLBのドラフトのシステムを解説していきます。

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NPBのドラフトとの違い

NPBのドラフトとはいくつかの点で決定的な違いがあります。例えば、以下のような点が挙げられます。

  • MLBドラフトは完全ウェーバーでくじ引きはなし
  • MLBドラフトではプロ志望届が存在せず、入団拒否も普通
  • MLBドラフトでは40巡目まですべての球団が指名を行う(※修正しました)
  • 契約金の上限がNPBのドラフトとは別の形で決まっている
  • 上位指名の場合は入団拒否すれば翌年に補填される
  • 指名対象になる選手の基準が異なる

指名順について

NPBのドラフトでは、1巡目では一斉に指名してくじ引き、2巡目以降はウェーバー&逆ウェーバー(2巡目は最下位球団から、3巡目は首位球団から、4巡目は最下位球団から・・)という風に行われます。その反面、MLBのドラフトでは1巡目から最後まで勝率の低い球団から順番に指名していきます。

なお、MLBではNPBと違い、FA選手を失った球団にはドラフト指名権が与えられることがあります。また、優秀なFA選手を取った球団はドラフト指名権を失うことになっています。日本では金銭補償や人的補償のシステムがありますが、MLBではFA選手を取るとドラフト、すなわち有望選手の獲得にシワ寄せが来るようになっています。

また、1巡目と2巡目、2巡目と3巡目の間にはそれぞれ市場規模の小さい球団を対象とする抽選でいくつか指名権が与えられるようになっています。

このように弱い球団から順番に指名したり、スモールマーケットの球団に指名権を与えたりすることにより、戦力均衡を促しています。

全体1位って何??

全体1位というのは、その年のドラフトで最も最初に指名(言い換えれば、昨年最も勝率の低かった球団が最初に指名した選手)のことを指します。もちろん誰を評価するかは球団によって違うので何とも言えないのですが、その年で最も有望なドラフト選手である場合が多いです。

MLBでは何巡目指名、などという言い方の他に全体1位指名に代表されるように全体~位指名、などとする言い方をすることもあります。例えば、全体100位であれば100番目に指名された選手(だいたい3~4巡目ぐらい)となります。

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プロ志望届の有無

MLBのドラフトにプロ志望届のシステムは基本的にはありません(ドラフト希望者を対象に薬物検査をやったりもしているようなので、そのへんの詳細まではわかりませんが)。

もちろん大学に行く、と選手が表明することはざらにありますが、そういった選手でも有望な選手であればどこかの球団が指名することがほとんどです。そのため、入団拒否も普通に行われ、日本のように入団拒否だけで大騒ぎになるようなことは上位指名でない限りありません。

MLBドラフトは40巡目まである?

MLBドラフトでは、なんと!40巡目まで指名を行い、NPBのように途中で指名をやめることはありません。NPBでいう育成ドラフトはMLBにはありません。また、指名権を失って39個以下の指名権しかない球団、あるいはFAの補填等でより多くの指名権を持つ球団もあり、指名権の数は球団によって多少前後します。

なおMLBでは先程述べたように指名した選手すべてが入団することはまずありません。下位指名になると、「入団しないだろうけど万が一してくれたらラッキー!」といった感じで大学進学を希望している有望選手をダメ元指名する球団も多くあります。

契約金の上限

※円換算はあくまでわかりやすく1$=100円で計算しています。

MLBのドラフトではNPBとは違い、契約した選手の契約金の合計金額が決まっています。この合計金額はチームによって異なり、より上位の指名権を持っている球団ほど大きくなります。この合計金額は多少超過してもいいのですが、規定を超えて超過すると翌年以降の上位の指名権を没収されることになっています。

要は契約した選手の契約金をすべて足した時に、決められている金額を超えないようにすればいくら払ってもOKなことになっているのです。厳密に言うと、1~10巡目までで使える金額が決められており、11~40巡目までは$100K(約1000万円)以上の契約金を使うと1~10巡目の契約金の合計に加算されるようになっています。なお、1~10巡目までに指名した選手が入団拒否すれば一定金額がもともとの合計金額から差し引かれます。

そのため有望な高卒選手などは契約金が多くいるので、10巡目などでは超絶安い契約金($1000=約10万円程度で買いたたかれる場合もあります)で契約して有望選手との契約金を確保する、などのストラテジーがとられたりもします。いかに決められた契約金の範囲で良い選手を指名して契約にこぎつけるかはGMの腕の見せ所で、NPBドラフト以上に球団の戦略が問われるようになっています。

契約金の額は?

では、MLBドラフト指名選手の契約金はどのぐらいなのでしょうか。

全体10位指名ぐらいまでの選手であれば、$3M(約3億円)以上の契約金をもらえる選手も多いです。特に全体1位の選手であれば$7M(約7億円)以上になることもあります。

だいたい2巡目の最初ぐらいの選手だと$1.5M(約1億5000万円=NPBの契約金上限)程度になります。だいたい4巡目後半あたりで$500K(約5000万円)程度になり、下の方に行くにつれて$100Kに近づいていきます。

有望だとされている選手や、有力な大学とコミットメントを結んでいる選手は契約金が多くかかることが多いです。そのため、契約金の額は指名順位とは必ずしも比例しませんが、だいたい下の順位ほど少なくなる傾向があるのは日米とも同じです。

補填指名がある?

1~3巡目までで指名した選手が入団拒否した場合、翌年に指名権が補填されることになっています。そのため、1~3巡目までであれば、入団拒否が起こってもNPBとは違い翌年にまた別の選手を指名できるようになっています。

ドラフト対象選手

NPBとMLBで違うのは大学選手の扱いでしょうか。高校生はNPB、MLBともに基本的には最終学年で指名資格を得るのは変わりませんが、大学生だと基準が異なります。

というのも、NPBでは大学4年生にならないと指名できませんが、MLBでは大学3年生になれば基本的に指名資格を得ます。21歳以上の選手であれば、3年生以下であっても指名対象になることもできます。短大の場合であれば、高校生として指名対象となった翌年に再び指名対象となることもできるようです。

そのため有望な大学選手はほとんど3年生までには指名を受けます。勿論4年生が指名を受けることも多いですが、基本的に大学4年生の選手は契約金が安くなる傾向が強くなり、有望な選手もかなり少なくなります。

最近でいえば評価の高かった4年生としては、2013年ドラフトで全体1位でアストロズに指名されたマーク・アペルがいます(ちなみに、この年の全体2位はカブスのスターであるクリス・ブライアントです)。アペルは前年(2012年)のドラフトでも全体1位候補でしたが、上位指名を持っていた球団が指名を見送り全体8位でパイレーツから指名されましたが、契約金が下がるため入団を拒否しました。

なお、MLBドラフトから指名される選手は基本的に高校か大学の選手で、日本のように社会人の選手や独立リーグの選手がドラフト指名されることはほとんどありません。また、このパターンで有望な選手が入団することはあまりないようですが、ドラフト外での入団も存在します。例えば、現オリックスのブランドン・ディクソンはドラフト外での入団です。

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